言語聴覚士(ST)は、「話す」「聞く」「食べる」に障害を抱える方を支援するリハビリテーションの国家資格です。1997年に制度化された比較的新しい専門職ですが、高齢化による嚥下障害や脳卒中後の失語症、子どもの発達障害への対応など、医療・介護・教育の幅広い分野で需要が急速に高まっています。

有資格者は全国で約3.6万人と、理学療法士(約20万人)や作業療法士(約11万人)と比べて大幅に少なく、人材不足が深刻な職種です。この記事では、夜間専門学校で言語聴覚士を目指す方に向けて、受験資格の取り方から国家試験対策、夜間部で学ぶメリットと注意点まで詳しく解説します。

言語聴覚士の仕事内容と活躍の場

言語聴覚士は、脳卒中や事故の後遺症、生まれつきの障害により「話す」「聞く(理解する)」「食べる(飲み込む)」といった面に困難を抱える方に対して、専門的な検査・評価を行い、リハビリテーションプログラムを提供する仕事です。

具体的には、失語症や構音障害などの言語障害、聴覚障害に対する訓練、摂食・嚥下障害への対応、子どもの言語発達の支援、高次脳機能障害のリハビリなどを行います。リハビリだけでなく、言語機能や聴覚機能の検査・評価も重要な業務の一つです。

言語聴覚士の主な活躍の場

  • 一般病院・リハビリテーション病院(急性期〜回復期)
  • 介護老人保健施設・デイケア
  • 訪問リハビリテーション事業所
  • 児童発達支援センター・放課後等デイサービス
  • 特別支援学校・教育機関

国家資格のため、一度取得すれば結婚や引越しなどでライフステージが変化しても全国どこでも働くことができ、需要に対して人材が不足している状況から、就職・転職にも有利な資格です。

言語聴覚士の受験資格と養成校の種類

言語聴覚士は国家資格であり、国家試験に合格しなければ就くことができません。国家試験を受験するには、指定の養成校で必要な課程を修了する必要があり、通信教育や独学では受験資格を得ることはできません。

受験資格の取得ルートは最終学歴によって異なります。高校卒業者の場合は、3〜4年制の大学・短大・専門学校で養成課程を修了します。一般の4年制大学を卒業済みの方は、2年制の指定養成校(専門学校・大学専攻科など)で学ぶことで、最短2年で受験資格を取得できます。

なお、どの課程でも国家試験に必要な単位数(93単位)は同じです。2年制は学習期間が短い分、カリキュラムが非常にタイトになる点は覚悟しておく必要があります。

言語聴覚士の国家試験と合格率

言語聴覚士国家試験は毎年2月中旬に実施され、全200問(1問1点)のマークシート方式で、合格基準は60%(120点以上)です。試験は午前・午後に分かれ、各100問ずつ出題されます。

出題範囲は基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育、言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発声発語・嚥下障害学、聴覚障害学の12科目と非常に広範囲です。

国家試験の合格率と難易度

合格率は例年67〜75%で推移しており、2025年(第27回)は72.9%でした。理学療法士(89.6%)や作業療法士(85.8%)と比べると低めですが、新卒者の合格率は約87.5%と高い水準です。

  • 医療・福祉・教育・心理・音響など文理を横断する広い出題範囲
  • 養成校が単位取得に厳しい基準を設けているため、受験にたどり着く時点で学習レベルが高い
  • 2年制夜間部でも昼間部と同等の93単位の取得が必要

夜間専門学校で言語聴覚士を目指すメリットと注意点

夜間部は平日の夕方から授業が始まり、土日に集中講義や演習を行うカリキュラムが一般的です。昼間は働いて収入を得ながら通学できるため、経済的な負担を抑えて資格取得を目指せます。

高い就職率

有資格者が不足しているため、資格取得後の就職率は非常に高く、全国どこでも求人があります。

社会人経験が強みに

夜間部には多様な職歴の学生が集まり、社会人経験で培ったコミュニケーション力は臨床現場で大きな武器になります。

夜間専門学校では社会人向けに夜間や土日の説明会・オープンキャンパスを実施している学校が多いので、まずは足を運んで授業の雰囲気や在校生の声を直接確認することをおすすめします。

言語聴覚士の夜間専門学校を比較するなら、まずは資料請求から

言語聴覚士の夜間部を設置している専門学校は全国的に数が限られています。学校ごとにカリキュラムの内容、臨床実習先、学費の総額、国家試験の合格実績が異なるため、複数校の資料を取り寄せて比較検討することが大切です。

多くの夜間専門学校では社会人向けに夜間の説明会やオープンキャンパスを実施しています。資料だけではわからない学校の雰囲気や在校生の声を直接確認するためにも、気になった学校には足を運んでみましょう。